魂の骨格 『HUGっと!プリキュア』完結、「S.H.Figuarts キュアエール」発売記念スペシャル鼎談

いよいよ1月27日の放送で最終回を迎える『HUGっと!プリキュア』。本作を手がけた監督のお二人とプロデューサーにお越しいただき、企画スタートから最終回までの道のりや、作品に込めた想いなどを語っていただいた。さらに今回発表となった「S.H.Figuarts キュアエール」をご覧になった感想も伺ったぞ。

【15周年としてのプリキュア】

――まず本作の企画経緯からお教えください。

内藤:『HUGっと!プリキュア』はシリーズ15周年目の作品として、オールスター映画やライブといった展開のイメージが当初からありました。歴代のプリキュア達と並び立った際、その中心にいても埋もれない「強いプリキュア」にしたいと考えたんです。そんな漠然とした方向性を元にシリーズ構成の坪田文さんと話し合い、軸になる叩き台を作ったところで佐藤さんと座古さんに入っていただきました。それから約2年に及ぶ打ち合わせの日々が続くことになります。

――1年間のアニメに2年も要するんですね。

内藤:準備期間込みだと、それくらいかかります。

佐藤:ある程度の柱が決まったところで呼ばれたので、自分は「どういうことをやりたいんですか?」と聞くところから始まりました。また『プリキュア』に関してはまったく素人なので、「『HUGっと!プリキュア』って何ですか?」っていうところからのスタートでした(笑)。

――佐藤さんと座古さんはどのような役割分担をされているのでしょう?

座古:僕の役割は現場に関することですね。

佐藤:僕はシナリオとアフレコ、ダビングがメインです。

座古:僕がピンチで佐藤さんに現場に来て頂くことがあります。

――女児物に取り組まれる際に意識されていることは何でしょう?

座古:僕はあまり「女児物」という意識はしていなくて、追加要素として「女の子が好むもの」を参考にする程度ですね。ただ「子供に見せてはいけない絵」は常に注意しています。男女関係なく、純然たる子供番組としての意識ですね。

――女児物に関してはオーソリティの佐藤さんですが、久々のニチアサ作品に関わった印象はいかがですか?

佐藤:自分が関わったのは20年以上前ですからね。それこそ最近の3~6歳の女の子達の嗜好を探る作業から始めました。今の子達はどんなことを楽しんでいるのか? それは当時のそのままなのか? 変わったのは何か? などを探り、最終的には女の子達が好きなものはそう大きくは変わらないことが分かりました。

――「未来」と「育児」という要素はどのような経緯で導き出されたのでしょう?

内藤:「未来」は監督たちと坪田さんを中心に話し合う中で出たテーマです。子供達に届けるのは「無限の未来」というメッセージが相応しいという話になりました。一方、玩具会社さんからは「赤ちゃんのお世話」という玩具のコンセプトが提案されて、今回のプリキュアは「育児も仕事もがんばるママ」というイメージを持った結果、色々うまくはまりました。

――敵も味方も「お仕事」がキーになっていますが、それはどこから。

内藤:ここ数年、プリンセス、魔法つかい、パティシエと人気モチーフが出尽くしてしまった感がありました。そこで今回は一つに囚われない色々なお仕事にしたいと考えたんです。結果として「育児も仕事もがんばるママ」というコンセプトにうまく馴染みました。そしてプリキュアサイドがお仕事なので、その流れで敵もお仕事関係になりました。敵をどんなブラック企業にするかの話し合いは盛り上がりましたね。けっこう生々しい話にもなりました(笑)。

座古:みんなに色々なルサンチマンがあるので、それぞれが思い当たる上司を思い浮かべたりして…(笑)。


――主人公達が子育てをするシチュエーションは、かつて佐藤さんが手がけた
『おジャ魔女どれみ♯』を思い出させますね。

佐藤:それが一番辛いところですよ。『♯』の赤ん坊の名前もハナだったし、けっこう設定が被っているんですよ(笑)。パティシエという職業が被ることもありましたが、あまりつべこべ言わないようにしていました。

内藤:『どれみ』当時はパティシエが憧れの職業だったわけですね。

佐藤:今の女の子がなりたい職業の調査をしてから企画をスタートさせますからね。ケーキ屋さんやお花屋さんは定番で常にランキングにありましたが、それは時代と共に移り変わりますから。

――他にシリーズディレクター側から出されたアイデアはありますか?

佐藤:色々な方向を目指している作品なので、テーマが散らばってしまう可能性があるんですよ。そうならないよう「未来」に焦点を絞ることは意識しました。そして、これは前作の『アラモード』を見て感心した部分ですが、3~6歳の子が理解できるエリアってせいぜい町内レベルなんです。でも『アラモード』は主人公のお母さんが海外で働く設定で、テレビを見ている子供達に外の世界があることを示したことは素晴らしいと思いました。今回のテーマである未来に関しても、子供達が想像できるのは次の誕生日やクリスマスくらいだと思うので、もっと先に道が続いていることを示したいと思ったんです。そこで明日を作る力という意味の「アスパワワ」を考えました。

座古:僕は佐藤さんがよく仰っていた「元気で前向きな女の子が良い」って言葉が印象的で、そのことを佐藤さん自身も常に心がけているのは見ていて感じました。物語を真面目な方向にしようとする暗くなりがちなんですよ。でも佐藤さんは「もっと明るく元気に行こう」と常に導いてくれましたね。

佐藤:僕は笑い担当なので、笑いはだいぶ注入しましたね(笑)。

座古:あまり暗くすると子供達が見なくなってしまうので、そこは本当に気を付けました。

【魅力的なキャラクター】

――メインキャラクターについて話をお伺いします。主人公「野乃はな」の名前や、前髪を切り損ねたという設定はどなたのアイデアなのでしょう?

内藤:名前や前髪は坪田さんに明確なイメージがあって、最初からキャラクター案として書かれていました。

座古:最初は「前髪が短いツンツルテンの子を、はたして可愛く見せられるのか?」と心配しましたが、川村敏江さんのラフを見たら可愛いかったので安心しました。元気そうなイメージでしたし。

内藤:あと身長が低めなことも書いていましたね。

佐藤:坪田さんがそこまで明確に設定を作り込んでいたのは、『プリキュア』をやる時のモチベーションに根ざしてると思います。たとえば前髪を切りすぎたことは失敗ですが、失敗と思ったらそうでもなかったり、むしろ魅力に繋がることもあるんですよ。そういう明確なビジョンに、誰かを応援したいチアガールのイメージなどが重なり、はなという確固たるとしたキャラクターが最初からありました。

――チアガールのイメージも当初からあったわけですね。

佐藤:他のキャラクターにはキャビンアテンダントなど色々なイメージがありましたが、はなは最初からブレずにチアガールでしたね。

――主人公が「応援」という他動的な役割を担うのは珍しいケースで、それが本作の特徴にもなっていると思いますが、そのようなキャラクターを主人公として活躍させた印象はいかがでした?

座古:弱い人間が色々な修行を経て確固たる人間に成長するという、一つの王道パターンはしっかり追えたと思います。色々なドラマを背負わせて人間を深めることも出来ました。前の学校で仲間はずれにされたような複雑な過去もありますが……この設定は初期に坪田さんから聞いていました。

佐藤:ただ、その過去を取り入れるビジョンが僕らにはなかったんです。

座古:等身大の人間らしい親近感がありますよね。周りに才能のある人達がいっぱいいるけど、本人は何もない平凡な人間。でも、そんな子が仲間と一生懸命になる姿は見ていて気持ち良いと思うんですよ。視聴者が自分を投影しやすいキャラクターだと思います。

内藤:周りが才能ある人ばかりだと、実際には辛そうですけどね(笑)。

座古:そういう部分を描きつつも、「この人のことが好きだから、この人と一緒にいる」という感じにできたのは良かったと思います。

――他のメンバーとは違い、はなの自分の将来像が固まってない部分も現代っ子的な印象を受けました。

座古:具体的な職業こそありませんが、なりたい自分像はちゃんと抱いているんですよ。

佐藤:「なりたい私」がゴールですからね。漠然としたイメージではありますが。

――はなの母親はマスコミ関係者というアニメでは定番の設定ですが、父親をホームセンターの店長にされたのはなぜでしょう?

佐藤:ホームセンターは職業が体験できる場所として設定しました。

内藤:両親が共働きで明確な役割分担がない、そんな最近の家族像を表現したかったんです。

座古:あとは児童が働く設定をどうクリアさせるかの都合ですね。お父さんが近くで監督していればクリアできそうだったので。

――各プリキュアのデザインコンセプトについて教えてください。

座古:プリキュアの衣装は職業モチーフと本人の特徴を組み合わせてデザインしました。エールは応援するプリキュアだからチアガールと花ですね。アンジュはシスターとナース、エトワールはキャビンアテンダントとフィギュアスケーターでした。

佐藤:デザインは川村さんの案ほぼそのままでしたね。

座古:エトワールの髪型をちょっと変えたくらいですね。最初はツインテールだった髪を纏めてもらいました。

佐藤:自分も色指定に立ち会ったのですが、プリキュアって全体的に原色系が多いんですよ。3、4歳の子はそれくらいハッキリした色の方がキャッチーですが、5、6歳くらいになると子どもっぽく見られてしまうんです。そこで今回はあまり年齢を下げ過ぎないよう色を淡くしました。

――アンドロイドが追加メンバーになるのも面白い仕掛けでしたね。カレル・チャペックの小説『R.U.R.』を引用したネーミングにも驚かされました。

座古:アンドロイドは坪田さんのアイデアです。名前も坪田さんが最初に決めていて、「RUR-9500」の型番は脚本の田中仁さんの案です。小説が元ネタかどうかまでは聞いていないので、偶然の一致という可能性もあるんですよ。そこは余計な詮索をせずに謎のままにしています。

【理想のキュアエール】

――それでは今回発表となった「S.H.Figuarts キュアエール」をご覧になった感想をお願いします。

座古:可動フィギュアが出るんですね!

佐藤:初めて見ました!

座古:主人公は番組を象徴する存在なので、こんな商品をぜひ出してほしかったんです。念願が叶って嬉しいですね。最初に写真で見た時はもっと大きいものだと思っていたので、実際に見たら意外と手の平におさまるサイズで驚きました。最近のフィギュアってここまで細かい造形ができるんですね。本当にすごいです。

佐藤:匠の技を見るようですね。「そこまで、やります!?」ってほど細かいですね。色々な意味で「大丈夫ですか?」って心配になります(笑)。

座古:本当ですよ。だって原型師さんが手で掘るわけでしょう? 気が狂いそうなレベルですよ(笑)。多分、どんなポーズをとらせても綺麗に決まるよう、髪の毛をフワッとした感じにしてくれたんですよね。原型師さんのアスパワワを感じました。こんなに素敵に作っていただいて本当にありがとうございます。

内藤:スカートの透け具合もポイントですね。

座古:クリアパーツまで使っているんですね。でもお高いんでしょ?(笑)

――良い子にエールの価格、4586円になります。

座古:すごい!

内藤:お買い得ですね!

――さらに各種ポーズに対応するための手首も付きます。

内藤:このパーツが嬉しいですね。

座古:ポンポンですか!ありがとうございます。BANDAI SPIRITSさんありがとうございます!

内藤:ポンポンを持った状態で玄関に飾ったら勇気出ますね。

佐藤:出ますか?

座古:「今日も頑張らないといけないのか」って(笑)。

――『プリキュア』はエンディングや映画『オールスターズ』などでCG表現をしているので、非常に立体映えするデザインだと思うのですが、いかがでしょう?

座古:プリキュアは変身すると頭身が上がるので、立体化する際の整合性も取りやすいと思います。自分はアニメキャラを立体にする際に難しいのは首だと思っているんですよ。首ってどうしても細くがちなのですが、その辺のバランスは上手く取ってくださっていますね。


佐藤:今の3Dのスキルは非常に高くなっていますね。プリキュア達って髪の毛が色々なデザインになっていて、3Dでは難しいと思っていた部分もちゃんと作り込まれているのは流石だと思いました。あと色合いも品があって良いですね。

座古:エレガントですね。

佐藤:ここまで動くなら変身バンクも再現できますね。

座古:コマ撮りで行けますね。撮影は大変そうだけど(笑)。

【変身バンクの魅力】

――ちなみに本作の変身バンクはどなたがコンテを描かれたんですか?

座古:佐藤さんです。

佐藤:最初は断ったんですよ。もう弾切れで、引き出しも空っぽだったので(笑)。

座古:サトジュン作品を見ていたファンなら絶対、佐藤さんが久々に描く変身バンクを見たいと思うんです。そうお願いしたらコンテはやってくれました。でも演出は結局……。

佐藤:そこまでは無理(笑)

座古:「これは俺がやるしかない!」と思って演出は自分がやりました。プレッシャーでガタガタ震えながら(笑)。

――佐藤さんはこれまで数々の作品で変身バンクを担当されましたが、今回はどのような発想で描かれたのでしょう?

佐藤:本当にネタ切れだったので、一回基本に帰ろうと思いました。「カッコいい」「可愛い」を大事にしつつ「子供が真似できそうな」ポーズを意識しています。また目まぐるしく動くのもカッコイイのですが、止めるところは止めて、見せたいところは見せる事もやっています。それで作った3人と同じ流れで追加の2人も作りました。基本的な流れは同じですけどディティールなどで差が出るようにしています。

――変身バンクってアニメの見どころでもあるし、一年間通して使われるという意味でも大事なシーンですよね。

座古:作る側もそれは意識しています。子供達ってバンクシーンを真剣に見るんですよ。僕の子供も番組当初は1歳でしたが、バンクシーンになると夢中で見ていたんです。「諸先輩方が言っていたことは本当だ!」って思いました。

座古:尺の都合で削る時は子供達の顔がチラつき、なんだか申し訳ない気分になってしまうんですよ。でも今回って当初はバンクを短くする予定でしたね。

佐藤:マックス15秒って言ってたのに、コンテで40秒くらいになっちゃったね(笑)。

座古:さらに映像にしたら70秒くらいになって(笑)。その時は子供達のためだから仕方ないと思いましたが、後々で尺との調整で苦しむことになりました(笑)。

――子供達からすれば変身シーンだけ見ていればOKですからね。僕らもそうですけど(笑)。

座古:いっそ変身シーンだけオンエアする回を……いえ、何でもないです(笑)。

内藤:この時点で55人だから1時間は持ちますね(笑)。

――あとキャラクターが楽しそうに変身しているのも『プリキュア』の変身バンクの特徴だと思いました。ターゲットである子供だけでなく、疲れ切った大人達もあれを見ると癒されると思うんですよ。

座古:華やかで綺麗ですからね。

佐藤:完成したバンクと比べると、僕のコンテって割とシンプルだからね。

座古:僕らはサトジュンさんが頭の中で想像している映像を模索して、それに近づけようと必死に考えながら作ったんです。「こうじゃない!」って言われないよう怯えながら(笑)。

佐藤:むしろ「ここまで、やっちゃいますか!?」って感じでした(笑)。作画が大変そうなのでコンテ段階で×したカットも描かれていたんですよ。「復活しとる!?」って驚きました(笑)。

【思い出のエピソード】

――続いて各話のエピソードについて話をお聞かせください。第42話の男性プリキュアはかなり話題になりましたね。

座古: リアクションも大きくてビックリしたんですよ。過去のシリーズでも男性がプリキュア的な何かになる話はあったし、今回は「男がなる」と言うよりも「なりたい自分になる」という事を表現したかったんです。ですからキュアアンフィニへの反響は僕らにとって予想外でした。

内藤:僕らの意図よりも大きな文脈で広がったかもしれません。

座古:もっと「誰がなっても良いじゃない」、「みんな頑張って戦ってるんだ」くらいの気持ちだったんですよ。ただ反響が多かったのは嬉しい事ではあります。

――あと、ほまれのハリーへの恋愛とか、色々なボーダーがないのも本作の魅力だと思います。

座古:歴代作品でも妖精との恋愛話はあったので、それほど革新的な事をやったという意識はないんですよ。

内藤:むしろ意識していたのは親御さん達の目線です。ただ周囲にいるお父さんお母さんはアニメの恋愛要素に嫌悪感はなかったし、子供達の世界でも起きているリアルな出来事ではありますからね。

佐藤:女の子は小さい頃から「好き」という感情に興味津々なので、アニメの要素に入れることは有効なんですよ。

座古:でも子供向けアニメで恋愛を描くのは難しいんですよ。憧れとしての好意や、苦しみも喜びも含めて。でもそこは上手くバランスを取っていると思います。

内藤:このお二人ならドロドロした話にはならないという確信はありました。

佐藤: 言われればやりますよ(笑)。

座古: 振れ幅も0~100歳まで(笑)。

――みなさんの印象的なエピソードは何でしょう?

内藤:僕はやはり第1話ですね。はぐたんを守るためプリキュアに変身するはなを見て、これから一年間の方向性を確信しました。赤ちゃんを抱いて「私のなりたい野乃はな」と大見得を切り、なおかつ大胆なバトルアクションで本当に良かったです。

座古: 僕も第1話って言おうとしたけど、被るので第48話のクライとエールの別れのシーンにします(笑)。ここで二人の因縁が決着するのですが、今回の『HUGプリ』では大人を完成された人格として描いていません。子供たちから見た大人って決して間違いのない存在じゃないですか。お母さんがやっていることは正しいし、先生が言っていることも正しい。でもそうじゃなくて、人間って色々な大変なことを乗り越えながら生きているんです。そして、そういう経験がクライ達にもあって、それに納得しながら前を向いて生きようとする決意を示すシーンなんです。自分でコンテをやりながら泣いてしまいました(笑)。最終的にクライは「敵」という立場を越えて、非常に人間らしい形に着地できたのは良かったです。佐藤さんは何話ですか?

佐藤: このシリーズの象徴となった第1話ですね。プリキュアになった時の「なりたい私」という台詞は、『HUG』の軸になる大事なワードでした。ヒーロー物は「誰かのために」とか「何かを守る」をモチベーションにして戦うのが基本ですが、この作品では、はぐたんが可愛くて大事なのは当然として、それを守れる自分になる事がモチベーションなんです。それに関しては他のメンバーも同じで、そこが『HUG』の重要なポイントだと思います。そして、ほまれが告白する第43話。僕は本来やるはずじゃなかった回ですが(笑)、あれも告白する事で次にステップする『HUG』のコンセプトを象徴する回でした。そのコンセプトは最終回にも貫かれますのでお楽しみに。

――作品を振り返られた感想をお聞かせください。

内藤:先ほどもお話ししましたが、準備期間を含めると約2年かかった作品でした。立ち上げたタイミングって、ちょうど座古監督にお子さんが生まれる時でしたよね。

座古:そうそう、生まれる直前に電話がかかってきたんですよ。

内藤: そんな運命的なものを感じながら企画を進めました。自分はプロデューサーとしてはまだまだ駆け出しですけど、座古さんと佐藤さん、そして坪田さんを中心に才能ある方々とご一緒できて本当に楽しい2年間でした。可能なら次もご一緒させていただきたいと思っています。どうでしょう?

佐藤:次も『HUG』ですか?

座古:まさかの続編(笑)。

佐藤:たしかに1年で終わるには勿体ないですよね。もう少し作り込める作品だと思うので。

内藤:1クール作品が多い昨今、1年間も出来るのは恵まれていると思います。そう思いつつ、それだけ長く一緒にいたので終わってしまう寂しさも大きいですね。

座古:たしかに喪失感はあるよね。

内藤: 現場のスタッフも徐々に抜けていくじゃないですか。

座古:みんなが次のスタッフルームに移ってしまい切なくなるんですよ。「このタイミングで行っちゃうの?」なんて気持ちになりますね。

内藤:この現場は決して仲良しでキャッキャウフフでやっていたわけじゃなく、言い難いことを言ってバチバチやっていた時もあったし、そういう関係なのは良かったと思います。2年と言いましたが体感時間はあっという間でしたね。その合間合間で玩具店やイベント会場に足を運んでは、作品に夢中になってくれる子供達を見て気持ちを上げる、その繰り返しの日々でした。どんなに辛いことがあっても「この笑顔のためにやれているんだ」と思えるのが心の支えでした。

座古:本当に大変だったけど、やりがいのある2年間でした。いや本当に死ぬかと思うほど忙しかったです。ギリギリで死にかけると強くなる「ドラゴンボール理論」を体験しました(笑)。でもスタッフの全員に「絶対に引かないぞ!」という気持ちがあり、それを実現するため皆と力を合わせて走り回った感じです。そして佐藤さん、内藤さん、坪田さんとご一緒する中で、自分には出来ないことがいっぱいあると改めて思い知り、それを出来るようにするにはどうすれば良いかを考えさせられました。「もっと自分も頑張らなければ」という前向きな姿勢を命と引き替えに得た感じです(笑)。最終的には、現場のみなさんのおかげで『HUG』は素晴らしい作品になれたと思います。

佐藤:久々に子供向け作品に関わることで勉強になり、刺激にもなって、本当に良い体験をさせてもらいました。昔、『セーラームーン』や『どれみ』などの子供向けアニメに関わりましたが、それが子供達にどう届いていたのかという答え合わせが出来なかったんですよ。最近ようやく「子供の頃に見ていました」という声を聞くようになり、その答え合わせで得たものを『HUG』にぶち込みました。それは今だからこそ出来ることなので、そういう意味では自分の経験を活かせた作品だと思います。お陰様で次回作の構想も見えて来たので、もし面倒でなければ、また呼んでください。



【プロフィール】

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さとう・じゅんいち
1960年3月11日生まれ、愛知県出身。ツインエンジン所属。1981年に東映動画(現:東映アニメーション)に入社し、短編アニメ『ねむり姫』で演出デビュー。『は~いステップジュン』のSD(シリーズディレクター)補佐を経て、『メイプルタウン物語』で初のSDを務める。以降『もーれつア太郎[新]』、『悪魔くん』、『きんぎょ注意報!』、『美少女戦士セーラームーン』を手がけた後に1998年に東映動画を退社。以降も『夢のクレヨン王国』、『おジャ魔女どれみ』(五十嵐卓哉と連名)、『魔法使いTai!』、『プリンセスチュチュ』、『カレイドスター』、『ケロロ軍曹』、『ARIA』、『たまゆら』、『わんおふ -one off-』、『絶滅危愚少女 Amazing Twins』、『M3~ソノ黒キ鋼~』、『あまんちゅ!』など数多くの作品に携わる。



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ざこ・あきふみ
茨城県出身。東映アニメーション所属。『おジャ魔女どれみナ・イ・ショ』の各話演出を務めた後、『トリコ』で初のシリーズディレクター、『劇場版 トリコ 美食神の超食宝』で初監督を務める。プリキュアシリーズでは『ふたりはプリキュア』、『Yes!プリキュア5』、『Yes!プリキュア5GoGo!』、『ハートキャッチプリキュア!』、『Go!プリンセスプリキュア』、『魔法つかいプリキュア!』、『キラキラ☆プリキュアアラモード』に関わり、『フレッシュプリキュア!』ではシリーズディレクターを務めた。



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ないとう・けいすけ
1983年2月3日、東京都出身。東映アニメーション所属。『ワールドトリガー』のアシスタントプロデューサーを経て、『魔法つかいプリキュア!』、『映画 キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』、『映画プリキュアミラクルユニバース』でプロデューサーを務める。



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