魂の骨格 第7回 メカデザイナー 海老川兼武

海老川兼武


「機動戦士ガンダム00」で、ガンダムエクシア・ダブルオーガンダム、レグナントなどのモビルスーツのデザインを手がけ、またROBOT魂の商品化にあたってはその商品の造形を監修いただいているメカデザイナー、海老川兼武氏のインタビューです。

レグナントのデザインエピソードや、監修についての感想、メカデザイナーになったきっかけなどを伺いました。


■ メカデザインする際に意識することは

まず、オーダーされた条件を満たす事を最優先にしなくてはいけませんので自分の主張をしすぎないのも意識します。ラフを重ねつつ監督と調整しながら形にしていきます。最初は小難しい設定などは気にせずにシルエットやキャラクター性を大切にするように心掛けています。


■ レグナントのデザイン

レグナントのデザインについては、初期の段階ではオーダーがあまり詳細ではなかったんです。確か「変形するモビルアーマー」「異形な形」「女性のルイスが搭乗する」くらいでした。

それを参考に、「エイ」「蛾」「女性のライン」をデザインのモチーフにしてスタートしました。最終的な仕上がりまで、このモチーフに変更はありませんでした。

水島精二監督は、ガンダムに対する憎悪の塊の再現や、異形な形にこだわってましたね。初期は四股(しこ)のバランスを考え、人型として手足をバランスよくデザインしていたのですが、あえて崩してほしいというリクエストでした。
「手は大きく、足は小さい、胴は長い」といった感じで。それらを崩しつつも、仕上がりのバランスには満足しています。

頭部には思い入れがあります。密度をこれまでになかったような感じにしたり、破損してマスクが壊れて顔が出るという三重の頭部の構造にしました。

そんな感じで全体的に自由にデザインできたのですが、MAへの変形は00特有の腕を前に突き出すパターンに合わせました。

<レグナントのデザインができるまで>


イメージラフ1


イメージラフ2


デザイン第1稿


デザイン第2稿

 

デザイン第3稿


デザイン第4稿


デザイン第5稿

 

■ 子供の頃に影響を受けたアニメは

小学生低学年の頃、サンライズのロボットアニメが多く放映されてて熱中していました。
ガンダムはもちろん好きですが、バイファムが特に大好きでした。他にはボトムズやダグラムですね。
この頃は作品ごとにメカのコンセプトもガラリと変わって、どの作品も本当に面白いと感じていました。
このあたりの作品にはすごく影響を受けましたね。


■ メカデザイナーを目指したきっかけ

子供の頃からアニメに限らず絵を描くのは大好きでしたし、ガンダムのモビルスーツの絵もよく描いていました。それがMSVシリーズが出てから、自分の世界観が変わりました。「ザクはザクだけじゃないんだ」って。そこから自分で考えたオリジナルモビルスーツを描くようになりました。「高機動ザクIII」とか「水中用ザクII」とか(笑)。ひょっとしたらこれがメカデザイナーのきっかけかもしれませんね。

当時から大河原邦男さんの名前だけは知ってました。確かに小学生の頃にはメカデザイナーになりたいと言っていましたね。だから意識したのは早かったと思います。

世に出た初めての作品は、中学生になった頃に模型情報の読者投稿で描いたオリジナルのモビルスーツです。それにはイラストに加えてモビルスーツの設定をいろいろ書いていたのですが、今見るとそれがまた痛くて(笑)。でも掲載された時は嬉しかったですね。もしかしたらその掲載でその気になっちゃってたのかもしれません(笑)。


■ROBOT魂の造形監修をして

映像の演出とは違って立体物ですので、作品の設定をそのまま再現するのではなく、商品として良くなるようにと心がけています。例えばレグナントですとサイズが大きいので、商品化するならもっとディテールが必要と思い、ROBOT魂用にいくつか追加しています。パーツの裏とかにも入れてるんです。

他には、商品企画段階では予定してない付属パーツなどをリクエストすることもあります。アドヴァンスドジンクスの背中に付けるパーツは、監修時に「こんなのがあったらいいですね。」という感じで話しただけなんですけど、その場で「やりましょう!」となりました。ROBOT魂ではこういったリクエストも聞き入れてもらっているので、監修も楽しいです。

海老川氏により新たにデザインされたレグナントの細部ディテール
 

デザイン決定稿
 

決定までに検討された様々なマーキングの一部
 


■ROBOT魂シリーズについて

一番好きなのは、自分が監修したのではないのですが、ターンXです。
今の技術で再現してくれて出来も素晴らしいです。他には0ガンダムも出来が良くて気に入っています(笑)。

今後はラインナップの充実に期待してます。ROBOT魂は意外性のあるものが発売されていてとても魅力的です。サンライズのロボット物が出るよう期待しています。



ROBOT魂 <SIDE MS> レグナント
ROBOT魂 レグナント


価格(税込) :9,450円
発売日 :2009年05月22日
対象:15才~

MA形態への変形、完全再現されたギミックはもちろん、今回の[魂の骨格]で触れた新規追加ディテールはアナタ自身の手と目で、是非実際に確認してください。
ROBOT魂 <SIDE MS> レグナント
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大張 正己

海老川 兼武(えびかわ かねたけ)
1973年12月28日 / 北海道出身

メカニックデザイナー。『機動戦士ガンダム00』では主役メカのガンダムエクシアや ダブルオーガンダムのほか、ジンクス、レグナント、リボーンズガンダム等のデザインを担当。

ROBOT魂では初商品のダブルオーガンダムから、造形監修に携わっている。

 


関連商品

  • ROBOT魂 <SIDE MS> ダブルオーガンダム
    ROBOT魂 <SIDE MS> ダブルオーガンダム

    2,750円(税10%込)
    2,500円(税抜)

    一般店頭発売 

    2008年10月25日 発売

関連ブランド

  • ROBOT魂

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